理髪師の井戸〜新館〜

日本史と郷土史が繋がった瞬間と、通史の舞台裏

吉田一彦氏の思い出

今年の春、情報学者で、諜報に関する書を数多く著した吉田一彦氏(神戸大学名誉教授)が亡くなられた。氏には、仕事を通じてお付き合いいただいた。以下の記事は、楽天ブログ本館20/9/25「歴史家のおしゃべり」から抜粋、若干の手直しを加えたものである。楽…

今も入居中

この日札幌なる向井君より北門新報校正係に口ありとのたより来る。 石川啄木は明治四十年(1907年)九月八日の日誌に記している。 この年の五月に渡道した啄木は、函館で小学校の代用教員の職を得、次いで函館日日新聞の記者に転じた。 彼ほど安定と縁遠い…

古松軒と鬼熊

楽天ブログ「本館」20/11/20記事の転載です。 江戸時代、諸国の私領の施政や民情を視察する幕府の巡見使は、将軍の代替わりごとに派遣される。十一代家斉襲職の時のそれは天明八(1788)年に全国へ差し向けられ、うち陸奥、出羽、松前に向かう一行が江戸を出…

浦川場所の羆退治

楽天ブログの本館21/12/23の記事を一部訂正の上、転載。 南畝こと太田直次郎といえば、 「世の中に 蚊ほどうるさきものはなし ぶんぶといひて 夜もねられず」 「白河の 水の清きに棲み兼ねて 元の濁りの 田沼恋しき」 という、寛政改革を揶揄する狂歌で知ら…

金四郎が来た

楽天ブログ「本館」の21/1/1記事の転載です。 ここで取り上げるのは、遠山金四郎が幕府蝦夷地御用掛の東蝦夷地巡見に随行した折の日記である。 だから、本来ならば、題名を‘金さんが来た’としたかった。が、この金四郎をもって‘金さん’としてしまうと、誤解…

お座なりで済ますな

十代将軍家治の下で並ぶ者なき権勢を誇った老中田沼意次の嫡男で若年寄の田沼意知が、江戸城中で斬殺されたのは天明四年(1784)三月二十四日のことである。 意知は、八つ時(午後二時)前の退出の節、通りがかった新番所から走り出てきた番士の佐野善左衛…

本館・新着記事のお知らせ

楽天ブログの「理髪師の井戸」本館に、「孤独の‘室蘭’グルメ」をアップしました。https://plaza.rakuten.co.jp/toyohara/diary/202207090000/